GA4とは何なのか?

GA4とは何なのか?

Googleは何のためにGA4をリリースしたのか。様々な理由が考えられますが、取得出来るデータや実装の手法などから、方向性が見えてきます。

目的は大きく分けて2つ「ユーザー軸の分析」そして「データ計測手法統一による使いやすさ」と私は考えます。

ユーザー軸の分析

UAはセッションベースでの分析ツールであった

今まで提供されてきたUniversal Analyticsはセッション(訪問)を軸にした分析ツールでした。サイトを訪れてから離脱するまでを1つの動きとしてデータを見ることが出来ました。セッションは単一あるいは複数ページの閲覧からなり、「ページ」を見たタイミングでデータが計測され、ページを軸に様々な指標が生まれました。

例えば直帰率であれば「1ページだけ見て離脱したセッションの割合」、平均閲覧ページ数も「セッションで平均何ページ見たのか」、セッションの滞在時間もページの表示時間(最終ページを除く)の合計でした。つまりページという単位あり、それを束ねてセッション単位で見るというツールです。

しかしユーザーの動き方はページやセッションでは語れません。ページ閲覧には様々な要素があり、「開いて3秒で閉じた」「開いてページの一番下までスクロールした後に離脱した」「動画を30分見てから離脱した」すべて1ページとしてカウントされますが、ユーザーがサイトに対して受けた印象はそれぞれ大きく違うでしょう。

またセッションという考え方もユーザー行動とは乖離があります。検索でAというキーワードでサイトに入ってきて、その後にサイトを離脱。Bというキーワードで改めてサイトに入ってきた時にはセッション数が2になります。しかしユーザーが実現したい行動(例:何かしらの情報収集をしている)という観点から考えると、これは一連の行動です。

例えばサイトに4回訪れて購入を検討。様々な情報収集を行いました。その後、家族に相談してOKが出たので、サイトを訪れて一目散に購入。セッションで見てしまうと購入時はほぼページを見ずに購入をしたという事になり、情報収集の貢献を図ることが出来ません。

このようにセッション・ページ単位で見ていても適切な分析が行いにくくなりました。UAもアトリビューション機能や、ユーザー軸のセグメント機能を実装したり、追加実装による計測強化を行ってきました。しかし基本の部分は変わらず、増築を繰り返してきたのです。

GA4はユーザーを分析するツールに

そこでユーザーを軸にしたアクセス解析ツールを作ろうとなると、今の増築だけでは難しく、一から作成した方が良い解析ツールがつくれると判断したのでしょう(私も、そうすると思います)。新しく生まれたGA4は極力セッションが表に出ない仕様になっています。

その代わりに初回訪問の流入元を見る専用のレポートが生まれたり、ページビューに依存しない計測手法や指標が生まれたりしました。例えば「ユーザーエンゲージメント」という新しい指標であれば「1秒以上、ユーザーのデバイスの前面に表示されていた」となります。これにより、ちゃんと見ているユーザーを計測します。各レポートに出てくるユーザー数は、基本このエンゲージしたユーザー(アクティブユーザーという名称がついている)を表示します。

またユーザー単位で行動を見る「ライフタイムバリュー」のレポートや「コホートレポート(ユーザーの継続率を見るレポート)」の機能も大きく進化しました。ユーザーを軸にした事により、セッションの産物である「直帰率」は廃止され、コンバージョン率(コンバージョン数÷セッション数)は画面で表示されなくなりました。(2022/07/19追記:こちらGA4の探索レポートで再度追加されました)

またページビューに依存しない計測ができるようになりました。詳しくは次項で触れますが、計測方法を統一した事により、ページビューに縛られないデータ計測が行われるようになりました。

例えばページの表示時間は今まで元のページと前のページを開いた時間の引き算でしたが、GA4ではページにエンゲージ(見ていた)していた時間が使われるようになりました。また、ページに依存しないファイルのダウンロードや外部リンククリックなども自動で集計出来るようになり、ページビュー以外の情報を取得しやすくなりました。

このように行動データをよりユーザー単位で、そして正確に計測するという試みがGA4です。

データ計測手法統一による使いやすさ

UAは増築により様々な手法でデータが計測されていた

UAは最初はページの表示を軸にしたツールでしたが、ニーズにあわせて機能を進化させてきました。クリックやスクロールなどを計測するイベント、ページを開い時に属性情報などを送り計測するカスタムディメンション、ECサイトの購買情報などを取得するeコマース。進化をしてきたのは良いのですが、実装方法はそれぞれ違い、またその中で不整合なども見えてきて、使いづらい点もありました。画面で設定する内容もあれば、実装を伴うものもあれば、両方必要なものもあり、基本的なページビュー計測以外の実装の難易度が高い側面もありました。

利用する側は、実装方法をそれぞれ学んだり、出来る範囲で実装を工夫したり、諦めたりという形になりました。分析の観点からも、違ったデータ計測方式の掛け合わせが難しかったり、データを整形しにくいという側面もありました。

それを一度しっかり整理して計測方式を統一させたのがGA4です。

GA4で計測方式が統一されることによる価値

GA4ではデータを「イベント」という統一された単位で計測することにしました。ページビューも、イベントも、カスタムディメンションも、eコマースも全てイベントです。イベント方式に統一した事により、分析や計測の観点から様々な価値が生まれました。

  • データの取得形式が統一されたため、設定や実装の仕方が統一される(複数の概念ではなく、1つの概念だけを理解すればよい)
  • 取得しているデータを共通のフォーマットで扱える(ページビューに依存しない集計や指標が生まれる)
  • その結果、セッションから脱却した分析が行いやすくなった
  • ログデータをダウンロードする時にわかりやすい かつ フォーマットが統一されているので扱いやすい
  • 自動取得出来るイベントが増え、分析の幅も広がった
  • ページビュー以外のデータも使った、データの自動分析や機械学習が行いやすくなった

これらメリットにより、GA4を使う人にとって得られるデータの量と質が上がり、より良い分析や改善に繋がるというわけです。特にデータの自動分析や機械学習は今後さらなる進化が期待できます。異常値の特定や、購入率・離脱率の予測など一部のレポートや機能が既に出てきていますが、今後もUAでは見られなかったユーザー軸の自動分析が期待されます。

まとめ

GA4は残念ながらまだ未完成です。β版が1年間あり、その後2020年10月にリリースされましたが、毎月のように仕様追加や変更が行われています。そしてGAの考え方や画面の使い方に慣れてきた人ほど「使いにくい」と感じでしょう。私自身もまだ「使いにくい」と思っています。無償版でもローデータを取得する機能が増えましたが、こちらを利用して分析出来る人はごく僅かです。そう考えるとG4の画面のさらなる進化は必要ですし、「慣れていないから」という理由では説明出来ない使いにくさや、見れないデータもまだ沢山あります。

しかし、UAの計測がアナウンスされた以上、GA4への移行の流れは止まりません。使いづらい部分もありますが、便利な機能もたくさん増えています。ユーザー行動を分析する上で(なおかつ無料で)ということを考えると、最高級のツールです。UAが止まることを嘆くというよりは、よりユーザーのことを理解出来るツールが生まれたと前向きに考えるのが良いかなと。

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