【生成AIとの全チャット公開】「ウェブサイトの改善」は生成AIで、どこまで可能か?(2025年)

本記事の概要

生成AIサービスの進化が著しいですが、実際にどこまでウェブサイトの分析や改善に使えるのか?2025年末時点で、実際に一通りのプロセスを実行した中で、得られた気づきや現在の「位置」を紹介いたします。

今回、検証するにあたり以下の環境を利用しています。

•対象サイトはGA4guide ( https://www.ga4.guide/ ) ※本サイト

•ゴールは本体サイト(https://happyanalytics.co.jp/)へのお問い合わせやセミナー送客

・利用する生成AIは「Claude」。MCPサーバーを利用して、本サイトのGoogle Analytics・Search Console・BigQueryを連携しています。

Google Analyticsとの連携方法は以下の記事をご覧ください。

検証をする上で共有したいプロセス

私はウェブサイトの分析・改善プロセスを「DMAICプロセス」でとらえています。

DefineでゴールやKPIを設定し改善の方向性を決めます。
Measureでサイトを分析するために、どういったデータを取得するかを決めて実装や設定を行う。
Analyzeでサイトを分析して気づきを発見。深堀して改善案を出してもらいます。
Improveで出した改善の具体性を詰めて、実行を行い、結果を振り返ります。
Controlでは継続的にサイトの改善活動を行うための月次レポート生成や継続的な改善を行います。

今回はこの5つのプロセスに対して、それぞれ生成AIを活用した結果や気づきを共有いたします。
それでは早速、本編をどうぞ。

Define:ゴールやKPIを設計して改善の方向性を決める

全会話のログはこちら

Define:Claudeとのやりとり内容

結論:適切なゴールやKPI設定を行うための土台の資料を作成することができた。

やりとりのポイント

「ディスカッション形式」で進めると、わからないことは推測して、随時確認してくれるのでオススメです。

複数の案を出してくれるので、そこから議論が行いやすくなります。

質問をしてくれるので、サイトの内容や目的を生成AIに学習させることができます。

いったん候補を整理して出してくれます。これだけでも悪くないのですが、ここからディスカッションを重ねていきます。

質問の答えていくことで、どのイベントを利用するか また 今後の方向性などを伝えることで、具体的な数値目標をいくつか出してくれます。

大きな方向性が決まりましたらドキュメント化してもらいます。作成されたドキュメントはこちら

この内容であれば社内で議論できるベースの資料になるのではと考えています。もちろんここから会社の現況(予算、成長フェーズ、人員など)や同業他社の状況もあるので、これで必ずしも良いというわけではありません。しかし、この辺りの情報を生成AIに渡して判断してもらうのは難しいでしょう。

外部要因や内部要因も含め、最終的にジャッジするのは組織内の人間であるべきかなと。

使ってみての所感

◯ 会話していくなかで適切な候補を出してくれる

◯ GA連携している場合は、該当計測イベントの確認を行ってくれる

◯ サーチコンソール連携していれば非ブランドキーワード流入などもチェック可能

◯ 過去トレンドからの積み上げ形式の目標設定は可能

△ (試してみたが)施策積み上げ型の目標設定は難易度が高い

△ 予算などの考慮も入れると更に設定難易度は上がりそう(なので利益ベースでの設定などには向いていない)

△ 会社の背景などをすべて伝えるのは難しく、取捨選択は必要となる

Measure:計測要件を決め設定ファイルを作成してもらう

全会話のログはこちら

Measure:Claudeとのやりとり内容

結論:計測要件を一緒に整理し、実装方法も提案。Google Tag ManagerにインポートするJSONファイルも作成してくれました。

やりとりのポイント

前の内容を加味することを伝えることが大切です。すでに動いているサイトでイベントやカスタムディメンションは取得しているので、現内容の確認と新規の提案という流れを伝えています。こちらでも「相談しながら」という形にすることで、ステップごとに確認しながら進めることが可能となっています。

BigQueryも連携しているため、イベントやパラメータ部分など細かくチェックをしてもらえています。

既存で取得しているイベントやカスタムディメンションの確認を行ってくれます。これにより適切な情報を知ってもらい、必要であれば修正の指示もしてくれます。

一通りチェックが終わった後に、実装するべき内容を提案してくれます。

また出来るようになることや、追加での確認もしてくれます。私はこの段階ではすべて実装や設定するのは大変と限り、優先度:高に絞ってもらっています。

それぞれの計測項目に関してGTMで設定するべき内容を教えてくれます。GTMを触ったことがほとんどない人にとっては、これだけだと設定が難しそうな気がします。

所要時間は長めですね。画像の下部にある通り、どういったWordpressのプラグインを使っているかも聞かれており、それにあった適切な確認やアドバイスもしてくれます。

次に手順書という形に落とし込んでもらいました。アウトプットはこちら

ただ実装や設定するのが面倒だなと思い、そういえばGTMにはJSONファイルで設定をインポートやエクスポート出来る事を思いだし、その作成を指示しました。

無事に作成することができ、そのアウトプットはこちらです。

これで計測に向けての大きな流れは完了です。実装や設定を行う際には既存イベントや変数なども使いまわし出来る可能性があったり、名称が重複する可能性があるので細かいチェックは必要です。既存のGTMの設定ファイルをダウンロードして生成AIに読み込ませればよい感じになるかもですね(未検証)。

実装方法も提示してくれるのでかなり楽にはなりますが、最終チェックや公開は人間側の責任なので、やはりわかっている人がやらないとこのプロセスは難しいです。

使ってみての所感

◯ GA4を繋げていれば既存のイベントやカスタムディメンションを読み取り確認してくれる

◯ わからない部分に関して確認も行ってくれる

◯ ゴールやKPIに基づいた適切な追加イベントやカスタムディメンションを教えてくれる

◯ Google Tag Managerでの実装や設定方法をドキュメント化し、コンテナのインポートに
  対応したJSONファイルを作成してくれる

△ 提案される内容が多いので、人間側でどれを実装・設定するかの確認が必要

△ 変数・トリガー・タグ名などのルールは把握していないので、すでに設定している名称や内容変更などを考えないといけないケースがある(GTM設定に詳しい人じゃないと結局できない。が、工数削減にはつながる)

Analyze:サイトの分析を行い気づきを発見し改善案を出す

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Analyze:Claudeとのやりとり内容

結論:しっかりとしたプロンプトを用意すれば、分析を行いその数値に基づいた改善案を出すことは可能。

やりとりのポイント

この辺りは、私が改善案出しのためのプロンプトを作っているため、それをそのまま生成AIに投げました。プロンプト内容は、以下の通りです。

## 目的 サイト内改善レポート(Markdown形式)を作成

## 事前確認(順次質問)
1. **施策タイプ**: 集客とサイト内施策のどちらを出す?(サイト内・サイト外・両方)
2. **データ期間**: 利用するデータ期間 YYYY-MM-DD形式
3. **キーイベント**: “all”または特定イベント名
4. 追加で事前に伝えておきたい条件や制限(サイトのこの部分は修正不可・予算や工数制限・KPIなど)

## レポート構成 -PowerPoint想定Markdown、以下の構成:
-1. エグゼクティブサマリー (300-500文字) 以降の分析全体のまとめ
-2. コンバージョン経路分析 全体パフォーマンス(セッション、CV、CVR等) デバイスカテゴリ別・流入元別・LP別の詳細分析(CVR差に着目) 推定されるサイト内行動パターン カスタムイベントの発生有無や発生回数に基づくCV貢献(カスタムイベントの意味が分からない場合は確認する) カスタマージャーニーから想定されるボトルネック箇所の特定
-3. 改善提案(4-5施策) 以下に重点を置く: コストや工数がかからない施策を優先 技術的な難易度が低い施策を優先 成果へのインパクトが大きいものを優先 動的ページより静的ページを優先 各施策に含める: 現状課題(定量データ根拠) 具体的改善案(ワイヤーフレーム/UI例含む) 新規コンテンツ提案(タイトル・ディスクリプション・キーワード) 期待効果(数値目標)
-4. 期待効果 施策別KPI・目標値の表 統合効果(重複考慮後のCVR改善見込み) 実施ロードマップ(フェーズ分け)
-5.ルール 表タイトルに集計期間明記 ページはtitleタグ文字列使用 定量的根拠を必ず提示

もう少し精度を上げるのであれば、対話形式で上記の分析内容を順番に提示、相談がしながら進めるのがよさそうですね。

このプロンプトの細かい説明などはまた機会があれば行いたいと思いますが、読めば大体理解できるかなと。

そして実際のアウトプットがこちら

一部、内容を紹介いたします。

設定したKPI(非ブランドキーワード)などを加味して、サーチコンソールのデータも出してくれます。

改善案の内容について。こちらは次に「Improve」の部分で各施策をより具体的にするための対話を生成AIと行います。

期待効果やコンバージョンへの想定インパクトも出してくれてます。

使ってみての所感

※今回のプロンプト以外に、様々なサイトでの生成AI分析を行ってきた気づきも含みます。

◯ 分析の視点や種類は多く、気づきは発見しやすい

◯ わかりやすく整理をしてくれて、アウトプットも見やすい

◯ ゴールやKPIに基づいた提案は行ってくれるが「実現性」という意味では注意が必要

◯ 理由付けや提案の背景説明はしてくれる

△ 提案の背景説明に関しては数値も見ているがあいまいな部分も多い

△ 追加の質問をして、知りたいことを人間が絞り込まないと、よい改善案は出にくい(プロンプト力は必要)

△ 効果予測に関してはざっくりレベル。ただ人間が行ってもそんな感じですよね…

Improve:改善案を具体的に練り、実装できる状態にする

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Improve:Claudeとのやりとり内容

結論:施策ごとに丁寧に議論し、実装方法まで確認することで「実行」出来る状態を作れる

やりとりのポイント

依頼をなるべく具体的にすることが大切です。「実務者に依頼」「具体的な指示」「確認しながら進める」という形で対話をしていきましょう。

1つずつ確認しながら進めてくれます。そして対話が終わるごとに指示書を作成してくれます。

コンテンツの作成方法や成果物に何を含めるのか。どこまで生成AIに任せるかを判断できます。私は横着なのでQ2に関してはC)を選びました…

このようなアウトプットを作成してくれます。具体的な指示所はこのセクションの最後に入れますね。

最後に社内向けドキュメントも作成してもらいました。

アウトプット一覧はこちらです。各施策とまとめになります。

WordPressでの操作方法や追加するべきコードも教えてくれます

原稿ドラフトも用意してくれます。記事を書く上でのベースがあるのは良いですね

評価指標や想定効果など、実施後に見るべきポイントも教えてくれます

使ってみての所感

◯ 会話形式で進めることで、施策の詳細を詰めることができる

◯ 指示書という形でアウトプットを求めることで具体的な内容を作成してくれる

◯ GAやサーチコンソール連携しておくことで評価指標まで出してくれる

△ 施策の実装自体は人間が行う必要がある 

△ HTMLやCSSコードも提示してくれるが、中身はちゃんと確認し、元のバックアップは残す

△ SEO関連の記事に関してはサイトやライターのテイストに合わせるためのリライトは必須

△ 生成AI側との作業時間は1施策に20分はかかる&利用コストが大きい
  (月$20バージョンだと5施策が限界。かつ数回、数時間待つ必要がある)

Control:運用レポートを作成し、継続的な改善活動を実現

全会話のログはこちら

Control:Claudeとのやりとり内容

結論:月次レポート作成に関してはある程度フォーマットを固めて、プロンプトを作ってあげれば実務で使えるレベルになる。日々の改善活自体は組織や人が担保するものであり、生成AIの恩恵は少ない

やりとりのポイント

こちらも月次レポート作成用のプロンプトは、ある程度作りこんでいるので、そちらを利用して作成しました。プロンプトを以下の通りです。

# GA4月次レポート作成プロンプト

## 基本設定 –
**期間**: 前月 vs 前々月・前年同月 –
**目的**: サイト診断&CV改善提案 –
**形式**: PowerPoint想定Markdown

## 事前確認
1. ECサイトでpurchase等取得の有無 → 回答後に次へ
2. 複数キーイベント時の使用対象(「all」or特定名) → 回答後に分析開始

## 出力構成
### 1. エグゼクティブサマリー(300-500文字) 主要数値変化(AU/セッション/CV数/CVR)、伸長/減少チャネル・ページ・CV種類、重要点3つ
### 2. 改善施策TOP5 **表**: 番号|施策名|対象|実施内容|評価指標|期待効果|難易度(3段階) 全施策実施時のセッション&CV数見込(悲観/平均/楽観)
### 3. サイト評価(10項目×10点) **ヒートマップ表**(前月/前々月/前年同月): AU/セッション/CV数/CVR/検索流入/エンゲージメント率/平均PV/平均訪問回数/平均滞在時間/売上 気づき300文字
### 4. 時系列流入推移 – 主要指標13か月推移(表) – TOP5チャネル別セッション&CV数13か月(表) – チャネル×LP TOP10セッション数13か月(表) – デバイス別(前月vs前年同月) – 都道府県別(前月vs前年同月) – インサイト・課題・改善案
### 5. ページ閲覧 – LP TOP10(タイトル/セッション/エンゲージ率/前月比) – 検索流入LP TOP10(表) – PV TOP10(表) – SEO改善TOP5(具体的title案/description案/コンテンツ追加案) – インサイト・課題・改善案
### 6. イベント発生 – TOP20(表: 名/回数/UU/回数÷UU) ※page_view超イベントは除外 – インサイト・課題・改善案
### 7. eコマース(purchase取得時) – 購入回数・金額年間推移 – 1人当たり購入回数・単価 – TOP20商品(表) – 成長TOP10(前々月比) – インサイト・課題・改善案
### 8. 成功・失敗要因 良3点/悪3点
### 9. 来月施策 注目指標、重点3施策
## ルール – 表タイトルに集計期間必須 – ページタイトルはtitleタグ文字列使用(URLや種別名不可) – 定量的根拠ある提案 – 期待効果数値明記

作成された月次レポートはこちら

後半では継続的な改善活動を行う上での相談なども行ってみました。ウェブサイトの分析から少し離れてきてしまうため、いくつかスクリーンショットだけ残しておきますね(解説入れていません)

使ってみての所感

◯ 要件を明確にすれば適切なレポートは作成してくれる

◯ Define,Measure,Analyze,Improveのステップの情報を見た上で作成してくれる

◯ レポート作成の速度は人間が行うよりは圧倒的に早い。繰り返し作業の工数を大きく削減

△ トライ&エラーをしながら最適なフォーマットをとプロンプトを見つけていく必要がある

△ 状態や条件(目標KPIや施策の方向性、社内事情など)が変わった場合はそれに対応する
  ため、再度生成AIとコミュニケーションを行いながら修正が可能

△ 量が増える傾向にあるので、サイト改善に使えないデータに関しては積極的に外すことを推奨

△ 継続的な改善活動を行うために生成AIが役立つ部分は限られる(作業の効率化くらいかなと)

まとめ

生成AIツールを活用したサイト改善プロセスについて紹介してきました。個人的な感想としては「結構使える!だけど、プロンプトなども含めまだ難易度は高いな」という印象です。

ある程度、行われている取り組みや分析に関する知識がないと、「良いアウトプット」かの判断が難しいのと、「もっと良いアウトプットが作れるはずなのに、そのやり方がわからない」という生成AIのポテンシャルを活かせず、使わなくなる可能性がありそうです。

また本質的には人間(あるいは会社・組織)しか判断できないことも、まだ多いです。この部分もしっかり整備していかないと生成AIがアウトプットを出すだけで終わってしまう可能性は高いのではないでしょうか。

私が今回出したアウトプットも、まだ模索中の部分が多いですし、ぜひ皆さんからのフィードバックやよりこの領域に関する知見を意見交換出来たら嬉しいです。

以下の有料講座も行っておりますので、本格的に生成AIを活用したウェブアナリティクスを行いたい方は、ぜひご検討くださいな。

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